
転職というとまだ日本ではあまりいいイメージを持っていない人が多い気がします。一番よく聞くのは「転職するのは我慢ができない人」とか、「転職は逃げ」とかいうイメージですね。
あと「転職しても給料が下がって失敗する人の方が多いからやめとけ」とか、「どこの会社に行ったって同じでしょ」などと言われたり、自分でそう思って諦めたりする人は多いと思います。
個人的にはこういうイメージは間違っていると思います。
ではなぜ転職にはこういうネガティブなイメージがついたのでしょうか。
この記事の目次
転職に対してネガティブイメージを持つ人が多い理由
日本人おっさん世代の影響
多くの大企業で役職について決定権限を持っている世代(おっさん世代)が持つ価値観は、最近は公言こそしませんが以下のようなものです。
・仕事というのは忍耐。若いうちの給料は我慢料
・出世のためには会社と上司への忠誠、そして社内政治力が重要
・仕事には「失敗しないこと(誤謬性)」が最優先される
・会社の本分は従業員の終身雇用
・離婚するやつは問題がある
・スキルや生産性よりも人間力が重要
これらは私が日本企業に勤めていたときに複数の上司や役員から実際に聞いた本音です。
おっさん世代のこういう価値観は、日本人サラリーマン全体の考え方に少なからず影響を及ぼします。
おっさん世代の多くが、私たちの親であり、親戚であり、上司であり、会社の役員なのですから、職場だけでなく家でご飯を食べているときや飲み屋で話をしたりといった日常のなかで、こういうおっさん世代の価値観の影響を受けることになります。
その結果、自分の周りでおっさん世代の影響を受けやすい友達や同僚までが「転職するのは逃げ」などと言い始めるようになります。
この影響のピラミッドの頂点にいるのが日本の就活を牛耳っている経団連のおっさん達ですが、この経団連の会長はじめ役員達19人の全員誰一人として1回たりとも転職経験がないそうです。
最近ではどの会社にも必ず何人か転職経験者がいたり、外国人も増えてきていてダイバーシティの重要性は高まるばかりですが、この経団連をはじめとする日本企業の同質性は個人的には異常だと思います。
この問題は結構根深いと思っていて、経団連系列企業では転職したばかりだと有給休暇がとれなかったり、転職した年の年収を前職と同程度か低く抑える傾向があります。
スキルや経験が増えると年収も当然アップする欧米の企業と比べるとその異常性が際立っており、これでは企業間で転職という行為を奨励しない黙示の談合があると思われても仕方がないですね。
ネガティビティ・バイアス
この記事でも紹介しましたが、正社員の転職は年収がアップした人の割合の方が多いという実態調査があり、年収アップを転職の成功と定義するなら失敗する人の方が少ないのが現実です。
したがって転職に成功した人の方が多いはずですが、それにも関わらず多くの人が「転職すると年収が下がる」というイメージを抱きがちなのは、転職に失敗したという話の方がより記憶に残り、より拡散するからです。
これを「ネガティビティ・バイアス」といいます。
これは心理学的に証明されていることで、ポジティブ情報とネガティブ情報がある場合に、人はネガティブ情報の方を重要度が高いと判断する傾向があります。したがってより多くの人の注意を引きやすくなるのです。
このメカニズムについては、神経心理学者リック・ハンソン博士が書いた『幸せになれる脳をつくる 「ポジティブ」を取り込む4ステップの習慣』に詳しく解説してあります。
シャーデン・フロイデ
さらにもうひとつ、転職に失敗した話の方がより拡散する理由として、「シャーデンフロイデ」というものがあります。
これは脳科学の世界で発見されたもので「人の不幸は蜜の味」という言葉があるように、誰かが失敗したときに思わず湧き起こってしまう喜びのことです。
「メシウマ」とも呼ばれるこの感情は、誰にも覚えがあるはず。人の持つ感情の中でも最も複雑で厄介なものの一つと言えますね。
人がうまくいった話よりも失敗した話の方が人は快感を覚えるため、より拡散しやすいというわけです。
このシャーデンフロイデについては、脳科学者の中野信子氏の『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感 (幻冬舎新書)』に詳しく書いてあります。
転職に対するネガティブなイメージを捨てよう
以上のように、転職に対するネガティブなイメージは幻想であることがわかります。
そもそも日本に260万社以上の会社がある状況で、最初に就職した1社目が自分にとってベストの職場である確率はどれほどのものでしょうか?それこそ天文学的な確率だと思います。
時間をかけて身につけたスキルや職務経験を他の会社でも活かしたい、キャリアアップしたいという気持ちを持つことは、成長したい、チャレンジしたいと望む人にとっては自然のことであり、転職は当然の権利です。
転職に対するネガティブな世の中の風潮はただの幻想と割り切って、正々堂々と転職に向きあいましょう。
「転職」をする必要はない。「転職活動」をしよう!
あなたは「仕事やめようかな」とか「転職しようかな」と一度でも考えたことがありますか?
今の会社で一生を終える可能性は何パーセントくらいですか?
10%ですか?60%ですか?
もし今の会社で定年まで働きたいと100%と断言できないとしたら、その理由は何でしょうか?
それは「転職活動」をしていないからかもしれません。
逆説的ですが、「転職活動」をしてみて初めて「今の会社でいい」と100%思えるようになるんです。
最終的に会社をやめて転職をするかどうかは今は考える必要はありません。
重要なことは、転職するかどうかに関わらず「転職活動」を始めることです。
つまり履歴書と職務経歴書を作り、転職サイトに登録して、いろんな業界や会社の情報を集めて、興味がある会社があれば面接してみることです。
最終的に入社するかどうかは内定が出てから考えればいいことです。
転職活動をすることであなたのキャリアを棚卸しでき、自分のやりたいことが整理できて、しかも自分の市場価値を客観的に把握できることに意味があるのです。
そうすることで「会社はやめようと思えばいつでもやめられる」という余裕があなたの中に生まれて、今の仕事に対して変な焦りや漠然とした不安から解放されます。
転職活動に取り組みたいという方は、まずは転職サイトに登録しましょう。
自分でやる場合は、リクナビNEXTが情報量が多くていいですが、効果的に転職活動をすすめたい場合は、ひとりでやるよりも転職エージェントに相談することをおすすめします。
転職エージェントは、いろんな悩み相談に乗ってくれますし、面接だけでなく履歴書や職務経歴書の書き方の指導までしてくれます。
これらは全て無料です。
どんなに長期間お世話になってもお金を取られることは一切ありません。
ちなみになぜ無料かというと、転職エージェントは志願者が内定して入社が決まったら企業から報酬をもらうからです。
志願者と転職エージェントは内定という目標に向かって一緒に活動する仲間であり利害が一致しますから、基本的には志願者の相談や要望につきあってくれますよ。
私は内定が決まった後、担当のエージェントと食事に行って祝ってもらっただけでなく、食事もおごってもらったいい思い出があります。
どこに登録すればいいの?と迷うかもしれませんが大手であればエージェントの質も案件の内容もそんなに大きな違いはありません。
まず一歩を踏み出すことで、必ず状況は好転していきます。
今日転職エージェントに登録して、あれこれ考える前にまず相談に行くことをおすすめします。
おすすめの転職エージェント
最後に私が使ったおすすめの転職エージェントを紹介しておきますね。
これ以外にもたくさんのエージェントがありますから、自分と相性のいいエージェントに会えるまでいろいろ登録してみるといいと思います。
1. 本音でアドバイスしてくれた【パソナキャリア】
2.30代以下ならおすすめ【マイナビエージェント】
3. 魅力的な案件が多い【BIZREACH(ビズリーチ)】
4. 案件数が多くてやっぱり大手はいいなと思った【リクルートキャリア】
5. 英語を使った転職なら【英語転職.com】
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